NY外国為替市場でドル円は、米中貿易摩擦激化への警戒感や香港のデモを巡る懸念から、リスク回避的な円買い・ドル売りが先行し一時105.05円と1月3日以来の安値を付けた。
ただ、厚めの買い注文やオプションが観測されている105.00円に接近した場面では買いが入ったため、NY市場では下値の堅さが目立ち、一時105.44円付近まで持ち直した。
ユーロドルは、目先のストップロスを誘発して一時1.1162ドルと1週間ぶりの安値を付けたものの、NY市場では買い戻しが優勢に。米10年債利回りが1.6284%前後まで大幅低下したことがユーロ買い・ドル売りを促し、1.1231ドルの本日高値まで切り返した。そのあとは1.12ドル台前半で値動きが鈍った。
本日の東京市場のドル円は、上値が重い展開が続くか。昨日休場だった東京市場とシンガポール市場が戻ってくることもあり、東京時間の市場流動性は回復するだろう。その中でドル円はどこで売るかから、いつ売るかにステージが変わってくる可能性がある。
ドル円の売りを誘発する要因としては、以前からある米中為替戦争、トランプ米大統領の利下げ要求圧力、中東不安や香港情勢の悪化などがある。
さらに昨日はアルゼンチン危機が加わった。アルゼンチンの通貨危機は2001年からはじまり、その後も2014年にテクニカル・デフォルト、そして昨年も政策金利を45%まで引き上げるほどの危機に直面した。
世界中の政治が左傾化と右傾化に極端に傾き、政治状況から様々な地政学リスクがドミノ倒しになってきていることで、リスクオフ地合いが急速に収束することは考えにくい。
また、地政学リスク以外のリスク要因で常に頭に入れておかなければならないのが、日米通商交渉の結果が今月もしくは来月に発表される可能性が高いことだ。
参議院選挙終了まで、日本に圧力をかけなかったトランプ政権に対して、安倍政権が自国通貨安の政策をとることが難しくなっていることで、更なる円高になる可能性は高い。
東京時間では本日も中国人民銀行が10時15分頃に公表する外国為替市場での人民元取引の基準値に注目が集まる。昨日は市場予想よりも元高で設定されたものの、7元台を維持している。市場は7元台に目が慣れつつあるが、もし6元台に設定された場合は、ドル円の買い戻しが入るだろう。
ドル円以外の通貨もボラタイルに動きそうだ。ポンドドルは昨日のアジア時間で年初来安値を更新した。1.20ドル台を維持できたものの、売り意欲は依然強いため1.20ドル割れへの備えは必要だ。本日は英雇用統計が発表されることもあり、ポンドの乱高下には警戒したい。
金利低下傾向のオセアニア通貨も上値が重い。NZ財務省はテクニカル的には「NZ準備銀行(RBNZ)はオフィシャル・キャッシュ・レートを-0.35%まで引き下げることは可能」と昨日発言しているように、オセアニアの利下げの流れも止まらないようだ。
また、アルゼンチンの問題もあり、南ア・ランド円は連日で年初来安値を更新している。新興国通貨は本日も乱高下しそうだ。

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